手のひらサイズの画面の中で、今日も誰かが歌っています。 高画質な4K映像、クリアなデジタル音源。 イヤホンをすれば、まるでその場にいるような臨場感……なんて言われますが、本当にそうでしょうか?
私たちは、何か大事なものを置き去りにしている気がしてなりません。
今回のブログは、3月28日に開催するイベント『ならす者たちの宴 vol.3』を通して、私たちが本当に届けたい「ライブハウスの空気」についてお話しします。
動画では再生されない「周波数」がある
最近はライブ配信も当たり前になりました。アーカイブでいつでも見返せるし、好きな場所で楽しめる。それはとても素晴らしい進化です。
けれど、画面越しに見るライブと、現場で浴びるライブは、似て非なるものです。 決定的に違うもの。それは「空気の振動」です。
バスドラムが腹の底を蹴り上げるような衝撃。 ベースの重低音が床を伝って足の裏から登ってくる感覚。 アンプから放たれたギターの音が、壁にぶつかって乱反射するノイズ。
これらは、マイクで拾ってスピーカーから流す「音声データ」になった瞬間に、きれいに削ぎ落とされてしまいます。 現場には、耳では聞こえないけれど、皮膚や内臓でしか感じ取れない「周波数」が確かに渦巻いているのです。
「元・屋根裏」という場所が持つ記憶
今回の会場となる下北沢のライブハウス「ろくでもない夜」。 音楽好きの方ならご存知かもしれませんが、ここはかつて「下北沢 屋根裏」と呼ばれていた場所です。
日本のロックシーンの黎明期から、数えきれないほどの伝説が生まれた聖地。 RCサクセションやTHE BLUE HEARTSなど、今ではレジェンドと呼ばれるバンドたちが、かつてこの場所で汗を流し、叫び声を上げていました。
名前は変わりましたが、その場所自体が持っている「記憶」は消えていません。
地下へと続く階段を降りた瞬間に感じる、あの独特の匂い。 何十年分もの爆音を吸い込んで、黒ずんだ壁。 何千、何万というオーディエンスの熱気が染み込んだ床。
そこには、ただの「建物」という枠を超えた、有機的な何かが漂っています。 これは、新築のきれいなホールでは絶対に出せない味であり、もちろんスマートフォンの画面からは絶対に匂ってこないものです。
人間が持っている「動物的な感覚」を呼び覚ます
デジタルは、ノイズを嫌います。 きれいな画角、整った音程、スムーズな進行。
でも、人間はどうでしょうか。 私たちは本来、もっとノイズまみれで、不格好で、汗臭い生き物のはずです。
ライブハウスという密室は、そんな私たちが「人間」に戻れる数少ない場所です。
隣の人の体温を感じる距離感。 演者の唾が飛んできそうなほどの切迫感。 その場の空気が一瞬で張り詰めたり、爆発的に緩んだりする、あの波のような感情の共有。
それは、五感をフルに使って楽しむ、極めて動物的な体験です。 AIがいかに進化しようとも、この「生々しい空気」を生成することは、まだ当分できそうにありません。
3月28日、その「空気」を確かめに来てほしい
2026年3月28日(土)。 私たちは、デッドポニークラブ、全軍突破という最高の仲間を迎えて、下北沢で宴を開きます。
上手な演奏を聴かせたいわけではありません。 きれいな映像を見せたいわけでもありません。
ただ、あなたと一緒に、その場所でしか吸えない空気を吸いたいのです。 かつて屋根裏と呼ばれたその地下室で、歴史の一部になりながら、今、生きている音を一緒に鳴らしたいのです。
イヤホンを外して、街へ出てください。 そして、地下の重い扉を開けてください。
そこには、画面の中にはない「本物の体験」が待っています。 会場でお待ちしています。
【イベント情報】 ならす者たちの宴 vol.3 日付:2026年3月28日(土) 会場:下北沢 ろくでもない夜(旧・屋根裏) 出演:theタイネックス / デッドポニークラブ / 全軍突破
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