規則は、本来、社会を円滑にするために生まれた。
事故を防ぐ。
トラブルを減らす。
誰もが同じように行動できるようにする。
つまり規則は、
人間の判断を助けるための補助装置だった。
ところが、ある時から様子が変わる。
規則が、判断の代わりを始める。
考える代わりに
規則を確認する。
判断する代わりに
マニュアルを探す。
責任を取る代わりに
前例を確認する。
こうして社会は
少しずつ奇妙な方向へ進む。
規則は増え続けるのに
判断できる人は減っていく。
これはとても不思議な現象だ。
本来は逆になるはずだった。
判断できる人が増えるから
規則が減る。
だが現実は
規則が増えるほど
人は考えなくなる。
考えなくなるから
さらに規則が増える。
これは小さな循環だ。
しかしこの循環は
ゆっくりと社会を窒息させる。
規則は便利だ。
だが規則が多すぎる社会には
余白がなくなる。
そして余白がない場所では
新しい考えは生まれない。

